〜 なぜ、いつも締め切り前に大慌てするのか〜
締め切り直前にならないとやる気が出ず、いつも周囲に迷惑をかけてしまうが、仕事のやり方を変えられない……。
これはリスクテイカー(危機好き)タイプと呼ばれる、グズの最終形だ。
前記5タイプのグズを放置しておくと、最終的にはこのタイプに行きついてしまう。
デッドラインが近づくと、それだけに注意が向くようになります。仕事のやり方にこだわっていられなくなるので、ある意味、吹っ切れてしまう。
完璧主義者は妥協を迫られ、効率主義者は段取りに凝る暇がなくなり、心配性も人目を気にする場合ではなく、自分探しタイプは迷う余地をなくし、白昼夢タイプは現実を突きつけられる。
こだわりを捨てた結果、一挙に仕事がはかどってしまうので、一種の快感がある。その味が忘れられなくなると、デッドライン直前まで仕事をやらないことが癖になってしまう。
周囲に迷惑をかけない範囲であれば、プラスの面もなくはない。
締め切り直前に自分を追い込むことで、日頃は出せないパワーを発揮できるという面もあるし、たとえ完璧主義タイプでも、『80点でいいや』と思える、といったメリットもなくはない。
だが、個人で仕事をしているならまだしも、組織で仕事をしている場合、やはりこのタイプの存在は迷惑以外の何ものでもない。究極のグズの、処方箋とは?
「グズとは、全体論的にいえば、モチベーションが現実的な行動に結びついていない状態であり、リスクテイカーとはその状態に居直った存在だといえる。モチベーションに依存して仕事を始めようとするのではなく、機械的に仕事を始める仕組みをつくり、習慣にする以外に方法はない。
デッドラインから逆算して、機械的に仕事を開始する方法。完成度の高さや外からの評価といった「成果」を考えず、デッドラインだけを意識する。先送りする場合には、再開する日付をはっきりと決めておき、その日がきたらやはり機械的に仕事を始めるのである。
やり始める日にちを決めて一旦忘れることで、あれもこれもやらねばというモヤモヤした気分が晴れますし、本人は忘れているつもりでも、その日に向けて脳は働いている。
一方、デッドラインのない仕事の場合、鍵になるのは意識の切り替えだ。
忙しいビジネスパーソンは複数の、しかも質の異なる仕事を抱えていることが多い。仕事Aから仕事Bに移行するとき、意識の切り替えがうまくできないと、Bが先送りされることになる。
切り替えをスムーズに行うには、AとBの間に、一分でもいいから何も意識しないニュートラルな時間を挟むといい。
つまり、グズを根本的に治療する処方箋は、執着を手放すこと。
難しいようだが、時間がなければ結局は誰もが執着を手放すことになる。できないことではない。